「伝え方が9割」の感想と要約
- 「伝え方」には人生を左右する力がある
- 「イエス」に変える3つのステップ
- 「イエス」に変える「7つの切り口」
- 同じ内容なのに強いコトバと弱いコトバがある
- 「強いコトバ」のメカニズム
- 「強いコトバ」をつくる5つの技術
- 「伝え方が9割」を読んでみての感想
「伝え方」には人生を左右する力がある
伝え方について誰かに教わったことがある人は少ないのではないでしょうか。もちろん私も教えてもらったことなんてありません。しかし、当書を読んでみて「伝え方」というのは生きていく上で重要なものであり、鍛えてくべきものだと感じました。
就職活動で、プレゼンで、好きな人への告白で、友達へのお願いで。それら全て、伝え方で成否が変わるものです。面接なんてまさにそうです。面接会場で自分の人生を生で見せることはできませんから、伝え方だけであなたの事を判断されるのです。人生は、小さなものから大きなものまで、伝え方で変わります。しかも人生の節目になるような、重要なポイントになればなるほど、伝え方がダイレクトに結果にむすびつくのです。
この文を読んで、「あの時、こうじゃなくてああ言えば良かったな」と思った場面が思い出されました。そして、同じ過ちを犯さないためにも、「伝え方」を学び、鍛えていく必要性を強く感じました。
「イエス」に変える3つのステップ
「ノー」となるはずだったお願いを「イエス」に変えるにはカンタンな3つのステップがあります。ここでは、意中の相手をデートに誘う場面を考えてみることにします。
ステップ1:自分の頭の中をそのままコトバにしない
普通だったら「デートしてください」とストレートに言いたいところですが、ここはぐっとこらえます。
ステップ2:相手の頭の中を創造する
ぐっと、そのまま口にするのをこらえ、お願いに相手がどう考えるか/ふだん相手は何を考えているのか、相手の頭の中を想像します。
いったんあなたの御願いから離れて、相手は何が好きか?何が嫌いか?どんな性格か?わかりうる相手の基本的な情報を思い出してみましょう。
例えば、ここで「食べ物はイタリアンが好物」という情報があったとします。
ステップ3:相手のメリットに一致するお願いをつくる
相手の頭の中をもとに、コトバをつくっていきます。
ここで、大切なのは相手の文脈でつくることです。結果的にあなたの求めていることが達成できればいいのです。
相手が「イタリアンが好き」であるなら、それを満たすコトバをつくります。
「驚くほど旨いパスタの店があるんだけど、行かない?」
となります。相手にとってみたらまさに望んでいる事なので、「イエス」となる可能性が高いです。
「イエス」に変える「7つの切り口」
ステップ2「相手の頭の中を想像する」ときの、とっておきな切り口を7つ紹介します。
①「相手の好きなこと」
あなたの求めることをストレートに言うのではなく、「相手の好きなこと」からつくることにより相手のメリットに変えるのです。上記の「驚くほど旨いパスタの店があるんだけど、行かない?」もこれに当てはまりますね。
②「嫌いなこと回避」
一方で、相手の嫌いなことからつくることもできます。「こちら嫌いでしょ。だからやらない選択をしましょう」という切り口です。
■「芝生に入らないで」
→あなたのメリットでしかない
■「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」
→相手の嫌いなことからつくり、あなたのお願いを聞くこと(芝生に入らないこと)が相手のメリットに変わった
③「選択の自由」
これは「相手の好きなこと」からの応用です。2つ以上の相手の好きなことを並べることで、前向きに相手が選べるようにする技術です。
「決断」というものは非常に疲れるものです。人は「決断」が得意ではないのです。しかし、人は「比較」が非常に得意です。あっちより、こっちがいいと簡単に言うことができます。この心理を利用するのが「選択の自由」です。
■「デートしてください」
→あなたのメリットでしかない。相手は「決断しなければいけない」
■「美味しいパスタの店と、ピザの店どっちがいい?」
→相手の好きなものである上に、選べることで、相手のダブルメリットになる
このように、選択の自由をつくることで、よりあなたのお願いが受け入れられる可能性が増えます。
④「認められたい欲」
もともと人は誰も認められたいという本能があります。この本能を利用するのです。特に、面倒くさいと思われるものをお願いするときにはコレです。
■「残業お願いできる?」
→あなたのメリットでしかない
■「きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?」
→認めているコトバから始まっていることで、面倒くさいこともやってみようとする気持ちが生まれる。
⑤「あなた限定」
これは、ステップ2で相手が「寂しがりや」とか「自分が好き」というときに効果を発揮します。もともと人は「あなた限定」に弱いです。「あなた限定」からつくるこの技術が効くのは、実は、たくさんの人数にお願いするときです。
「自治会のミーティングに来てください」
→あなたのメリットでしかない
「他の人が来なくても、斉藤さんだけは来てほしいんです」
→その人の名前を使い「私こそが必要と思ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットに変える
⑥チームワーク化
これはステップ2で相手が「面倒くさいと思っている」「やる必要性がそこまで見つからない」ときに効果を発揮します。お願いを相手任せにするのではなく、「いっしょにやりましょう」とあなたと相手をチームワーク化するのです。ひとりだと赤信号を渡りたくなくても、「一緒に渡ろう」と言われると、人は動くのです。
「勉強しなさい」
→あなたのメリットでしかない
「一緒に勉強しよう」
→面倒なことであっても、人と一緒であれば動くもの
⑦「感謝」
これは、最終手段にして最大の方法です。「ありがとう」と感謝を伝えられると、ノーとは言いにくいのです。
■「領収書をおとしてください」
→あなたのメリットでしかない
■「いつもありがとうございます。領収書をお願いできますか」
→感謝から入ると、「ノー」と言いにくい
同じ内容なのに強いコトバと弱いコトバがある
上記の「ノー」を「イエス」に変える技術と同様に「強いコトバ」をつくる技術があるのです。「強いコトバ」と「弱いコトバ」にはどんな違いがあるのか見ていきます。
「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!!」
『踊る大捜査線』でおなじみのこのセリフ。別に、
「事件は現場で起きてるんだ!」
でもいいですよね。しかし、前者のほうが心に/記憶に残る人が多いのではないでしょうか。そう、これこそが「強いコトバ」なんです。
「強いコトバ」のメカニズム
まず、「強いコトバ」の定義から見ていきたいと思います。
本書では、「強いコトバ」を、人の感情を動かすエネルギーのあるコトバと捉えています。このエネルギーのことを、「コトバエネルギー」と私は呼びます。
それでは、この強いコトバをつくるのに必要な、「コトバエネルギー」をどう生み出すのか。その方法は、ジェットコースターの原理と同じです。コトバに高低差をつけてあげれば、エネルギーは生まれます。
例えば、「あなたが好き」
より
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」
のほうが心に響きませんか?それはなぜか。高低差があるからです。
ジェットコースターと同じで、高低差があればあるほど、人はぐっとくるのです。
「強いコトバ」をつくる5つの技術
「強いコトバ」をつくる、5つの技術を見ていきます。
①サプライズ法
これは伝えるコトバに、驚きワードをつくる方法です。サプライズがあると、人は注目するのです。もともと興味のないものでも、興味を持たせることができるのです。
サプライズをつくるには以下のようなコトバを使います。
「凄い、~」「信じられない、~」「あ、~」などです。
こんな簡単なことで本当に「強いコトバ」になるのか。少し疑っちゃいますよね。
しかし、バカにしてはいけません。「サプライズ法」はプロもよく使います。
有名なコトバだと思います。もし、サプライズを入れなかったらどうなっていたか。
京都、行こう
普通過ぎますよね。これだけだったら、感情は動きません。そんな普通のコトバも、コトバエネルギーを加えただけで大化けしたのです。
②ギャップ法
これは、スタート地点を下げ、言いたい意味に、ギャップをつくってあげる方法です。
これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ。
(オバマ大統領就任演説)
人々を熱狂させたオバマ氏のコトバ。彼が本来言いたかったこと、それは、
これは、あなたの勝利だ。
こう言いたかったのです。しかし、彼はあえて「あなた」の反対側である「私」というコトバをその前に使ってギャップをつくりだしたのです。
③赤裸裸法
これらはすべて「赤裸裸法」でできています。「赤裸裸法」はあなたのコトバに、体温を感じさせ、ときに詩人のようなニュアンスをつくりだすことのできる方法です。
やり方は簡単です。自分の肌感覚に素直になるだけです。
くちびるがふるえてる。あなたが好き。
と言うと、自分の心の中から赤裸裸なコトバに感じると思います。赤裸裸ワードを入れれば、生命力あふれるコトバに変わるのです。このコトバは、人に「好き」と言うときに、カラダがどのように反応しているのかをそのままコトバにしているだけです。実に、簡単です。
④リピート法
何かを暗記するとき、繰り返し、口に出したりしますよね。これは、相手にも有効です。リピートして聞かせることで、聞き手の記憶にすり込むことができます。
「人民の、人民による、人民のための政治」
リンカーン大統領の有名な演説です。これが歴史を超えて、ここまで世界中に伝わったのは、リピート法を使って、聞く人の記憶にすり込み、感情をゆさぶったからです。
⑤クライマックス法
これは、あなたが伝えたいと思っている相手に「これから重要な話が始まるんだ、聞いておかなくては!」と思わせて集中力をこちらに向かせる技術です。
例えば、「私はカレーが好きです。」をクライマックス法を用いることで、
「ここだけの話ですが、私はカレーが好きです。」
のように強いコトバにすることができます。
「伝え方が9割」を読んでみての感想
コトバが持つ力の強さを思い知らされた一冊でした。人の感情を揺さぶる、動かすことができるコトバには、ある法則があるといのはまさにその通りだと思います。そして、その法則を学び、活かすことはとても意義のあることだと思います。しかし、ここで注意しておきたいのは、決して小手先のテクニックで終わらせてはいけないということです。最初は真似から入るべきではありますが、そのコトバをいかに自分のものにするのかが非常に重要だと感じました。なぜなら、テクニックを使えば表面上はいいことを言っているように見えますが、そのコトバには感情がこもっていないからです。「感情がこもっていないコトバ」に人が動かされることはありません。「感情がこもっているコトバ」だからこそ、人は動かされるのだと思います。当書は、「コトバ」をテーマに扱っているので、出てきませんでしたが、人の持つ「感情」に動かされることも多くの場面であります。そのため、「強いコトバ」×「感情」が最強のコンビであると思います。
是非、当書で学んだ内容を実践していき、自分の武器にしていきたいです。